【特別区設置協定書(案)可決】

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【特別区設置協定書(案)可決】

 6月19日(本日)の大都市制度(特別区設置)協議会において、特別区設置協定書(案)の採決が行われ、賛成多数で可決となりました。

 自民市議団は反対。残念ながら自民府議団との見解が異なる形になってしまいましたが、下記の通り、川嶋委員より採決の前に見解表明をしておりますので、ご確認下さい。

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●自由民主党の大阪市会議員 川嶋広稔より見解を申し上げます。

●最初にお断りしますが、府議会の委員と、市会の委員とでは後ほど行われる採決において態度が異なることから、市会の委員として「反対」の立場からの見解表明といたします。

●それでは、まず、最初に、コロナ禍でこれまでの価値観が大きく転換するということを申し上げたいと思っています。
 いまだ、世界の各地において、「ロックダウン(都市封鎖)」により長期間に渡って厳しい行動制限が課せられ、製造(生産)・流通・消費といった経済の循環が機能停止に陥りました。
 また、働き方についても在宅勤務などリモートワークが一気に進み、さらには住民の行政に対する期待も変わってきています。
 アフターコロナの社会を見据えると、経済や社会のシステムが大きく転換していくであろうことは皆が感じているところではないでしょうか。
 加えて、我が国において、海外との渡航制限によってインバウンドが極端に減少し、4月5月で訪日外国人数が99.9%激減したとの衝撃的な数字も公表されたところです。また、世界各所のカジノが閉鎖されるなど、大阪都構想が前提としていた社会は大きく変容したと指摘せざるを得ません。 
 価値観が大きく転換した今、大阪都構想についても、その前提から見直されるべきであるとともに、今やるべきことはアフターコロナの社会に向けた新たな社会や経済システムへの対応であって、大阪都構想どころではありません。

●さて、先般、制度案に関する市民意見の募集行われ、前回の法定協議会においても報告がありましたが、その中には、
「都構想よりもコロナ対策に全力で取り組むべき」、
「この非常事態に、出前協議会や意見募集をしている場合でない」
といった意見が、全体の4分の1を占めていました。
この市民の切実な願いとして重く受け止めなければなりません。
 確かに、日本においては、コロナ感染症は一定落ち着きを見せていますが、コロナによって大きな打撃を受けた企業活動や住民生活は、今なお、移動の制限(特に海外との移動の制限)を受けるとともに、製造(生産)・流通・消費のサイクルも十分に回復しておらず、非常に厳しい状況にあることに何ら変わりはありません。
 今後の日本経済や国と地方の財政にどのような影響が出てくるのか、税収見込みがどうなっていくのか、全く見通しが立たない状況であります。
 このような状況において、市民生活や企業活動に大きな変化をもたらす大阪都構想の議論は進めるべきではないと重ねて申し上げます。
 少なくとも、今、最優先で取り組むべきは、大阪市には財政調整基金などの豊かな財源がありますが、この財源を積極的に活用して、決して全て使い切れと言っているのではありません、中小零細企業支援や、生活再建支援、医療体制の充実、台風や地震等の災害に備えた避難所の充実など、目前の課題に取り組むべきであります。

●以上のように、今、大阪都構想ではなく、目前のコロナ対策とともに、アフターコロナの社会に向けた対応に全力をあげるべきとの思いから、「反対」をする次第です。

●最後に、特別区制度の内容等について、簡単に問題点を5点ほど指摘しておきたいと思います。

①1点目として、大阪市を廃止、4つの特別区の設置には、膨大なコスト、手間、時間を要するという問題です。
 特別区の設置にコスト、手間、時間をかけるぐらいなら、コロナから再生・復活するための施策や事業の充実に努めるとともに、想定されている第2波やインフルエンザ、台風や地震を控えた大規模災害等への備えを万全にすべきである。

②2点目は、特別区には、十分な財源と職員体制が用意されておらず、公選区長による ニアイズベターの実現は困難であるという問題です。

③3点目は、現在の財政シミュレーションは、平成30年2月公表の「市の粗い試算」をベースとしており、コロナの影響、ようは多額の歳出と税収の大幅な減などが全く反映されておらず、意味をなさないものであるということです。少なくとも、財政シミュレーションは最新の「市の粗い試算」をベースとするとともに、コロナの影響が分かり判明し次第、適宜修正をかけていきながら、市民に正しい情報を提示すべきです。
特別区が設置された際に、財政的に成り立つかどうかわからない状況となりました。財政シミュレーションの面だけでも大阪都構想の前提が変わっているのですから、今、大阪都構想を進めるべきでないということは当然の判断です。

④4点目に、嘉悦学園が示した財政効率化効果(及びマクロ経済効果)は、全くもって実態にそぐわない机上の数字に過ぎない上に、何度も指摘を受けて訂正を繰り返さなければならないような欠陥品であるということです。当然、住民の説明には用いるべきではない。もし、住民の説明に使うなら、U字カーブの是非も含めて公平な第三者によって検証されなければなりません。

⑤5点目として、広域機能のあり方については、府市が共通の整合性のとれた方向性の下に施策や事業を進めていくべきであるが、大阪市を廃止しなければ実現できないものではないと指摘しておきます。

●以上縷々述べてきたが、コロナ禍でこれまでの日常が破壊され、ある意味、これまでの常識が破壊され、新たな価値観への転換が余儀なくされています。また、市民生活や企業活動は疲弊し、じっくり腰を据えて考える余裕など無い状況です。このような状況において、住民投票を強行すべきでないと指摘を申し上げ、「反対」の立場の見解表明といたします。

●なお、自民党としては、冒頭申し上げましたように、後ほどの態度表明においては、府議会の委員2名は「賛成」を、市会の委員2名は「反対」の態度となることを申し添えておきます。

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