【大阪市会本会議(5月定例会)】

広報 議会報告

【大阪市会本会議(5月定例会)】
コロナ支援策やワクチン接種のことについて世の中の注目が集まる中ではありますが、大阪市会における通常の案件も議論され、市政は進んでいます。
委員会質疑で詳細議論がなされたところですが、今年3月に可決成立した所謂「広域一元化条例」の施行に伴う関連議案も出てきており、議決の対象となっています。
自民会派からは、川嶋広稔議員が反対討論にと登壇しました。
討論内容については下記の通りです。
「広域一元化条例」の根本的な問題点が、今後継続して市民の不利益として発現することを踏まえて、我々も訴え続けなければならないと考えています。
 また、花岡みや民生保健委員長、加藤仁子建設港湾委員長からの委員会報告もありました。次回、5月28日の大阪市会本会議で、市会役員改選となり、各議員の所属委員や役職も一新されることとなります。
 役職等については、改めて、28日にご報告致します。
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 私は、自由民主党・市民クラブ 大阪市会議員団を代表し、ただいま議題となっております議案第 128 号ないし 132 号に対して「反対」の立場から討論をいたします。
なお、議案第 131 号に関しては、大阪都市計画局の設置に係る箇所を反対するものであります。
【前提】
・まず、これらの議案の前提である「いわゆる広域一元化条例」に対して、私たちは「反対」を致しました。
・その際の討論においても申し上げましたが、そもそも2度目の住民投票において「いわゆる大阪都構想」は否決されたことで、私たちは、政令指定都市大阪市としての権限と財源を活かして、都市行政と市民生活の向上と発展のために邁進する使命をおっています。
・しかし、民意の都合の良い「切り取り」によって、先の議会において「いわゆる広域一元化条例」が提案され議決・成立されたことは、大変残念でなりません。
・その際にも、「いわゆる広域一元化条例」の問題点を何点か指摘しました。その点を規約の反対理由を述べる前に、申し上げさせていただきます。
・まず、1点目として「地方分権の流れに逆行する」ということ
・2点目として「二重行政問題などに関して定義づけもなく、立法事実についても正しく検証・分析されていない状況にある」ということ
・3点目として「条例によって大阪市から大阪府に事務委託される都市計画決定権限についても、条例の制定によって、どういう効果があるのかなど具体的な立法事実が示されていない」ということ
・4点目として「都市再生特別地区に関する都市計画決定権限が、大阪府へ事務委託されることにより、新たな二重行政が生み出され、ひいては成長のブレーキになってしまう」ということ
・5点目として「大阪府と大阪市が対等の関係にあるのか疑問がある」ということ
・6点目として「大阪府が今まで以上に財政的に<新たな>負担・拠出をするのか」ということ
・7点目として「自治権(自己決定権)の放棄につながる」ということ
………などの指摘をしましたが、規約案において、これらの点がクリアになったとは到底思えないということをまず申し上げておきます。
【 導入】
・それでは、議案第 128 号ないし議案第 132 号に対する具体の反対理由を「規約の廃止に関する問題」「事務委託の範囲に関する問題」「経費負担に関する問題」「ワンストップ窓口に関する問
題」「大阪都市計画局に関する問題」の5つの項目に関して申し上げます。
【 規約の廃止に関する問題点】
・まず、1つ目、「規約の廃止に関する問題」ですが、前提となる「いわゆる広域一元化条例」が大阪市で廃止されても、この規約案は廃止されないという問題点があるということです。
・議案第 128 号・第 129 号の各規約案の趣旨として、規約第1条に、「この規約は、大阪府及び大阪市における一体的な行政運営の推進に関する条例及び大阪市及び大阪府における一体的な行政運営の推進に関する条例に基づき、」ということで、「いわゆる広域一元化条例」が本規約の根拠条例であるように示されています。
・しかし、規約案の第2条に「地方自治法第 252 条の 14」の事務委託の根拠条文に基づいた規約ということも書かれており、なんと、法的には、これが根拠になっております。
・大阪市にとって不利な内容であったとして、大阪市において「いわゆる広域一元化条例」の廃止を議決したとしても、大阪府議会での議決がなければ「規約の廃止」ができないということであります。
・このことは、自治の原則である「自己決定・自己責任の原則」に反し、自治の侵害、自治の喪失にあたるものといえます。
・いずれにしても「いわゆる広域一元化条例」が前提となっている規約と思いきや、法的には条例が「前提になっていない」という規約は、議会を欺く規約であると申し上げておきます。
【事務委託の範囲に関する問題点】
・続いて、2つ目、「事務委託の範囲に関する問題」ですが、事務委託の内容が「白紙委任」の状態にあるということです。
・地方自治法の第 252 条の 15 において、「事務の委託の規約」において定めなけらばならない事項として、第 1 号から第 4 号まで列挙されており、1 号は「委託する普通地方公共団体及び委託を受ける普通地方公共団体」、2 号は「委託事務の範囲並びに委託事務の管理及び執行の方法」、3 号で「委託事務に要する経費の支弁の方法」、4 号は「前各号に掲げるもののほか、委託事務に関し必要な事項」となっています。
・「地方自治法の逐条解説」によると、このうち「委託事務の範囲」については、「普通地方公共団体の事務の一部の範囲に限られるわけであるが、その範囲については、特に明確に定め、後日
疑義の生ずることのないように注意する必要があろう。」と「限定的」に定めるように書かれています。
・しかし、規約案の第 2 条第 1 項第 4 号で「前3号に掲げるもののほか、大阪の成長及び発展に関する基本的な方針であって、大阪市が大阪府に策定を委託する必要があるもの」、同条第 2 項で
「前項第4号に掲げる戦略等については、副首都推進本部(大阪府市)会議における協議により定めるものとする。」となっており、要は、副首都推進本部(大阪府市)会議で協議するだけで事務委託の範囲の拡大ができる構造になっており、本来なら規約によって「限定的」に定められるところ、議会の議決を必要としない、まるで「白紙委任」ともいえるものとなっており、規約としては不適当であると申し上げておきます。
【経費負担に関する問題】
・続いて、3つ目、「経費負担に関する問題」ですが、これも事務委託と同様に「白紙委任」の状態にあるということです。
・経費負担に関しては「地方自治法の逐条解説」によると、「委託費の額は、あらかじめ事業計画、財政計画等の基礎の上に普通地方公共団体の長が相互に協議して定めて措置すべきものであ
る。」とされている。
・要は「あらかじめ」協議をして「定めて」おく必要があるということから、しっかりと議論して「ルール」など詳細に規約に書くべきであります。
・しかし、議案128号では第6条第1項に、また議案第129条では第7条第1項に「委託事務の管理及び執行に要する経費は大阪市の負担とし、その細目については大阪府知事と大阪市長が協議の上、別に定めるものとする。」とされており、全て市長と知事によって決められることになっていることは、これも、議会の議決を必要としない、いわゆる「白紙委任」の規約の条項であると言えます。
・理事者から、「大阪市長と大阪府知事で別途定める」というものを、 条例に定めた「合意項」という答弁もありましたが、知事・市長の裁量権の逸脱にあたりかねないと指摘しておきます。
【ワンストップ窓口に関する問題点】
・続いて、4つ目、「ワンストップ窓口に関する問題」ですが、そもそも、「いわゆる広域一元化」によって、新たな二重行政問題をうみ、ワンストップ窓口を作らないといけない規約案だという問題点です。
・これを必要とする理由は、都市計画決定という一つの事務を無理に二つに割って、府と市がそれぞれ担当することによって、新たな二重行政が生まれると言われることに対応するためでありま
す。
・5 月 19 日の都市経済委員会において、我が会派の前田議員より、「都市再生特別地区」などの事務委託の都市計画手続きについて、「大阪市権限で行われる場合より、スピードアップが図られるのか」という質疑に対して、理事者からは「大阪市から大阪府に権限を移すにあたりまして、大阪市への意見聴取や、大阪市都市計画審議会の意見を踏まえての意見回答といった手続きが加わることから、これまでの手続きに比較してスピードアップするとは言えない…」との答弁がありました。
・この答弁からも理事者がいう「民間事業者の負担軽減・利便性の向上」という効果がないことは明らかであります。
【大阪都市計画局についての問題点】
・続いて、5つ目、「大阪都市計画局に関する問題」ですが、
・そもそも、都市計画局を共同設置することは、いわゆる広域一元化条例の議論の際にはなかった話であり、かつ、大阪市の職員がいなければ事務委託が成り立たないという根本的な問題を含んでいるということです。
・もし、組織を一体化することが目的なら、「事務委託」の手法
は、不要だったのではないでしょうか。政治的な思いつきで、大阪市の「まちづくり」にとって重要な権限や組織が振り回されていることは市民にとって大変不幸なことだと言えます。
・さて、大阪都市計画局の設置による効果や組織のあり方について、理事者からは「共同設置の効果として見込んでいる、大阪市の持つノウハウの府域全体への展開などを見据えるとともに、円滑な事務処理を図るため、組織マネジメントとして、市職員を人事交流手法などで配置することなども想定している。」との答弁がありました。
・要は、事務委託した業務を「人事交流の手法」を使って大阪市の職員が担うという可能性が出て来たわけであります。
・本来は、自治体において処理できない事務を、他の自治体に事務委託して執行管理してもらうものです。
・しかし、事務委託先の大阪府の職員だけでは事務委託に対応できないということであり、本当なら大阪府は事務委託の対象とはならないということを示しているものであります。これは広域一元化条例は事務委託の規約に関わる、根本的な欠陥ではないでしょうか。事務委託する先の自治体である大阪府にはノウハウがないということの証であります。
・「人事交流」という名のもとに、事務委託を脱法的に行うということだと強く申し上げておきます。
【最後に】
・以上、縷々申し上げましたが、全体を通じて感じたこととして、「いわゆる広域一元化条例」と、それに基づく「事務委託などの規約案」、そして「組織の共同設置」の3点が論理的にきっちりとリンクしていないと感じています。結局は、「いわゆる大阪都構想」の代案とも言われている「いわゆる広域一元化」を、政治的な思惑などで都合よく実現したいがために、都合よく作られたものと言わざるを得ません。
・最後に、大阪市が「いわゆる広域一元化」の条例を廃止しても、規約は、大阪府と大阪市の両自治体の議決がなければ廃止ができず、主導権が大阪府にある中で、大阪府と大阪市とは「対等」の関係とはいえないこと、
・また、「事務の範囲と経費負担の考え方」が、白紙委任状態になることから、自治の基本である自己決定権の侵害にもあたるということを重ねて申し上げて、反対討論と致します。
・ご静聴ありがとうございました。

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