議案第100号「大阪市立 環境科学研究所条例を廃止する条例案」、
議案第101号「地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所への職員の引継ぎに関する条例案」、
議案第166号「大阪市立 環境科学研究センター条例案」に関して、反対討論【福田議員 平成28年3月29日】

hukuda私は自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表し、議案第100号「大阪市立 環境科学研究所条例を廃止する条例案」、議案第101号「地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所への職員の引継ぎに関する条例案」ならびに、議案第166号「大阪市立 環境科学研究センター条例案」に関して、反対の立場から討論致します。

まず、議案提出の経緯に関して申し上げます。
予算市会における2月の当初案件として「環境科学研究所の廃止条例案」及び関連議案が上程され、真摯に議論を進めてまいりました。しかし、その後、民生保健委員会のまさに審議時間中に、追加提案の表明がなされ、3月1日の本会議に「大阪市立環境科学研究センター設置条例案」が、急遽、上程されました。

その中身について申し上げます。
追加された条例案は、現在の環境科学研究所が担っている「環境分野」と「衛生分野」のうち、「環境分野」に限って、本市直営で残すものであります。しかし、近年、世界経済が一体化し、人の移動・交流が飛躍的に増大している現代社会においては、感染力の強い新型インフルエンザや、新たな感染症が世界的に大流行する恐れが強まっており、感染症対策の重要度が増しているとともに、食の安全への関心も高くなっています。これら感染症対策や食品への安全対策などを担う「衛生分野」が、市政においても大変重要であると考えます。

例えば、ひとたび新型インフルエンザなどの感染症が発生すれば、原因を特定し、拡大を防ぐため、迅速に対応することが求められます。そのため、本市で権限を持つ保健所が、医療機関と連携をとりながら、環境科学研究所の検査結果をもとに、患者の入院措置、あるいは、食中毒なら行政処分措置をとることとなります。したがって、迅速性・正確性が問われることはもとより、保健所と環境科学研究所の緊密な連携が不可欠であり、権力行政の裏付けとして、警察組織にたとえれば、警察に科捜研があるように、大阪市の保健所には環科研がなくてはならないものであります。

理事者からは、統合メリットについて、新型感染症の流行や大規模な食中毒の発生など、健康危機事象発生時には、大阪市の境界で検査主体を分ける意味はなく、むしろ大阪府という広域で一元的に対応する方が感染拡大を防ぐことができると説明してこられました。

しかし、厚生労働省が策定する「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」及び各種の特定感染症予防指針などには、地方衛生研究所の果たすべき役割が明確に規定されています。そのガイドラインを見ると、国は政令市である大阪市の、衛生研究所が機能していることを前提に、施策を決定していることは明らかであります。

また、全国の都道府県・特別区・政令市をはじめ中核市など、設置されている地方衛生研究所は80を数え、それらの全てが直営であります。この意味をしっかりと認識すべきです。

お隣の京都では、「京都府保健環境研究所」と「京都市衛生環境研究所」を府市協調の一環として、効率的な運営や、健康危機事象発生時の対応力強化のため、新たに共同で、施設を整備し、同じ建物の中に両研究所がそれぞれ入り、連携を進める計画が進んでいます。がしかし、施設を統合しても、両研究所の組織は統合されません。それぞれ直営の組織で、独法化すらされていません。

京都府、京都市では、「環境分野」と「衛生分野」を併せ持つ研究所を、直営で運営する責任と強みを理解しているからこそ、現在の計画を進めているのではないのでしょうか。

環境科学研究所は、「食品」「感染症」「環境」の3つの分野を連携させ、日頃から横断的な人事異動を行うことで、危機事象が発生した際には、初動の段階から迅速に対処できるようになっています。原因が判明した際には、その特定の分野に人員を集中させることによって、総合力を発揮し、最小のコストで最大の効果を上げることができるよう、考えられてきました。しかし、今回の案では、環境分野を切り離すなど、バラバラにするということで、明らかに市民生活にとってデメリットであります。

さらには、平成26年11月に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」いわゆる「感染症法」の一部改正案が可決され、平成28年4月に施行されますが、感染症の検査及び結果について、国へ報告することが政令指定都市である、大阪市長に義務づけられることになりました。

この法改正の趣旨や意義を正しく理解し、感染症の検査体制をより強化しなければならない状況の中で、大変重要な地方衛生研究所の統合を目指したり、環境分野を切り離して独法化するということは、新たに定めた国の方針に逆行するものであります。

そもそも統合メリットに関しても、これまで職員・予算・研究費を削減してきた本市において、今回の条例案では、入居する建物はバラバラ、施設は統合せず、組織だけを統合する。さらには、環境分野のみ、独法となる現在の環境科学研究所の建物の中に分離して直営として残す。まさに支離滅裂であります。
この様に、非常に複雑で分かりにくい組織体制では、共同して設置・運営をしようとしている大阪府知事・市長そして独法の理事長と、三者からなる指揮命令系統が不明確となり、責任を持った迅速で確実な対応を行うことはおろか、言われているような統合によるメリットや機能強化が図れるとは到底考えられず、逆に機能低下を引き起こすことは明らかであります。
危機事象が発生し、例えば初動の段階でまだ原因が特定されていない場合など、保健所をもつ大阪府・大阪市において、知事・市長の判断が異なった場合には、新たな組織は知事の指揮命令系統にある以上、市長の指示には従わない可能性が大きいのであります。だからこそ、先に申し上げた京都は、連携強化は図るが、最後の最後、組織まで一緒にしなかった。
市民の命を守る、その責務がある市長として、当然の判断であります。
そう言うと、大阪市民も大阪府民だと、言われる方がいるかもしれませんが、それなら保健所業務も全て、大阪府で見るべきで、そういうことも府から提案があって初めて「大阪市民も大阪府民だ」と言えるのです。
全く市民を見ず、政局で判断される市長の姿勢には、はっきりと「反対」と申し上げます。

また、先ほどの委員長報告でありましたように、この条例案には、附帯決議として7つもの項目が挙げられている状況を見ても、それだけの指摘をしなければならないほど、本条例案は欠陥が多く、不完全なものであることを露呈しています。

公衆衛生こそ、危機管理上、重要な役目を負う以上、平時の行政改革の範疇だけで物事を考えることは、大きな過ちを犯すことになります。
まずは、危機管理を一番に、組織のあり方を考えるべきであります。
本来は、府は、大阪市以外にもある、府下の政令市や中核市の公衆衛生研究所の補完機能をどう果たすのか
という役割があります。
また、危機事象が広域的に発生した場合の、各保健所、各市の公衆衛生研究所の連絡調整や、それこそ広域的な役割を果たすことが、府としての本来の役目です。
その観点からも、明らかに誤った方向に進んでいると指摘を致します。

最後に重ねて申し上げます。
冒頭に申し上げたように、今回の「環境科学研究所廃止条例案」に関しては、これまで3回否決されたものと全く同じ内容でありましたが、委員会当日の審議中に突然、追加提案の表明があり、急遽、「環境科学センター設置条例案」が上程されました。しかし、その後さらに、その条例案の「修正」案が昨日、上程されるといった、一連の経過を振り返っても、提案者の信念がまったく感じられない、あまりにも場当たり的で、論理破綻をきたしている議案であると、怒りすら覚えます。
こんなことでは、大阪市民と大阪で活躍する皆さんの命と健康を守ることができません。
改めて、はっきりと明確に「反対」と申し上げます。
以上、縷々申し上げましたが、地方衛生研究所が果たすべき、大変重要な役割を鑑みて、政局ではなく、政策を見つめていただき、ぜひとも議員各位の良識ある正しいご判断をお願い申し上げ、反対討論と致します。

ご清聴、ありがとうございました。