【平成30年3月27日 大阪市会本会議】

【平成30年3月27日 大阪市会本会議】

≪住吉市民病院から住之江診療所へ…についての反対討論≫

 過去は変えることができません。しかし、未来は堅実に進めることができるはずです。
 住吉市民病院関連の一連の顛末は、住吉市民病院を二重行政のムダと一括りにした統合議論で廃止をさせ、4度の民間病院誘致の失敗、最終的には、入院病床のない外来だけの診療所で約6年間の暫定診療を行うという方向となりました。約6年後の病院誘致についても確約されたものではありません。
 「ないよりは、ある方がマシ」という意見もあるでしょう。しかしながら、長年の経過を経ての今回の結末に賛同することはできないという思い、議員団を代表して前田議員より反対討論で訴えさせて頂きました。

 ちなみに、同案件に対する附帯決議については、自民も賛成するという形で、認めざるを得ない現状に対しての認識を示させて頂いております。

 民生保健委員会の山本委員長の委員会報告についても、また、ネット録画にて是非ご確認下さい。

 前田議員の反対討論の内容は以下の通りです。

    ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 私は自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、議案第13号「地方独立行政法人大阪市民病院機構定款の一部変更について」及び議案第93号「地方独立行政法人大阪市民病院機構に係る中期目標の一部変更について」に反対の立場から討論をさせていただきます。
 
 大阪市はこれまでの間、小児周産期医療として、地域の一次医療を担う住吉市民病院と、高度医療を担う府立急性期総合医療センター。この2つの公的病院が、2キロしか離れていないことが「二重行政」であるとして、住吉市民病院の現地建て替え案よりも、機能統合案の方がコストが安いことなどを理由に、平成24年6月に統合方針の決定を行い、以降、両病院の統合を推し進めてきました。

 その後、住吉市民病院閉鎖に反対する7万名もの署名を受けて、平成25年3月29日付けの市会において、住吉市民病院の廃止条例案の議決に際し、「住吉市民病院が担っている産科・小児科等の機能存続」と「民間病院の早期誘致の実施」に関する付帯決議を付し、同条例が可決されたものであります。

 しかしながら、市は2度に亘る民間事業者公募に失敗し、さらに個別の民間事業者誘致、3度目の事業者公募にも失敗。結果、議会の附帯決議に基づく民間病院誘致は完全に頓挫することになり、住吉市民病院は小児科病棟が2月末で閉鎖、この30年3月末をもって病院全体が閉院されることになりました。

 本議案は、住吉市民病院閉院に伴い、新たに診療所を設置することについて、その定款変更及び中期目標の変更について求めるものですが、病床のない外来診療のみの診療所の設置を前提とするものであり、地域住民をはじめとする市民の声、地域医療を支える専門家医師などの意見を無視した内容と言わざるを得ず、我が会派としては、到底賛成できるものではありません。
 以下、具体的に反対理由を述べます。

【機能承継について】
まず住吉市民病院の福祉的機能の承継が果たされていないということです。
 市はこれまで、住吉市民病院の機能を府市母子医療センターに承継するために、重症心身障碍児者の医療型短期入所として住吉市民病院に登録されている方々の受け入れ先を確実に見つけ丁寧に対応する旨、再三再四、委員会等で答弁してきました。
しかしながら、小児科病棟が閉鎖される本年2月末からわずか10日前の委員会の時点において、これら不安を抱く44名の登録者の方々に、市側から一度の連絡もとっておらず、登録者の状況すら確認できていないなど、閉院によって影響を受ける患者の方々に対し、極めて杜撰な対応しか出来ていないことが判明しました。これはもはや医療機能の承継どころか、行政としての責任を漫然と放置したことに他なりません。
 2月末の小児科病棟閉鎖後、重症心身障碍児者を持つ母親自らが、大阪市域外の遠方の病院まで出向き、短期入所が利用できる病院を必死で探している状況がいまなお続いている中で、尊い命に関わる医療の承継に対し、あまりにも杜撰な対応に終始している状況を踏まえると、住吉市民病院の機能承継が到底果たされたとは思えません。

【診療所は民間病院以下】
 次に本議案による住吉市民病院の後に設置予定の診療所は、外来診療のみで小児科 半日6コマ、産科 半日3コマという小児周産期医療としては極めて不十分な診療体制であるということです。

 このような体制で診療している民間病院は存在せず、地域医療を司る専門の医師の方で構成される大阪市南部保健医療協議会では、「診療コマ数からみても一般的な診療所レベルよりも低く、地域の医療ニーズに対応できない」との意見が出されました。

 また同協議会では、外来診療のみの診療所では、小児周産期医療としては明らかに不足するため、「30床の入院外来機能を有する医療機関を設置する旨」議決し、大阪府医療審議会 病院新増設部会でもこの決議を尊重すべきとされているにもかかわらず、市は何ら病床確保の検討もないまま、外来診療のみの形だけの診療所機能を前提とした定款変更を行うことなど、到底認められるものではありません。
 市民病院機構内には30床以上もの余剰病床がある中で、病床を住吉市民病院跡地に移動させることにより、段階的に病床を確保することは法的にも物理的にも可能であります。
 市大病院や市民病院機構と協力し、医療人材の確保を行っていけば、小児周産期病床が確保できる可能性があるにもかかわらず、そのような検討すら行わないまま、地域住民も、地域医療を担う専門家である医師も求めていない外来診療のみの診療所を設置しようとする市の対応は到底理解できません。
 市は、住吉市民病院跡地における病床確保について、早急に検討するとともに、新病院の開設を待つことなく病床を確保するべきではないでしょうか。

【大学病院誘致について】
 さらに、市が「合意」に至った、とする住吉市民病院跡地に「弘済院機能を移転させる市立大学病院の誘致」についても、委員会において、「合意」の根拠となる大学との間で交わした「確認書」は、何ら法的拘束力もなく、双方が協議を行う義務さえ発生しない、双方の確認事項を示した内容にすぎず、市と大学との間では何ら法的な「合意」に至っていないことが明らかになりました。
 小児周産期医療の病床数すら確定していない全くの白紙の状態であるにも関わらず、市民に対して誤認を与える市の表明は、再び市民に期待を煽るだけのものであって、許されるものではありません。実際は、「合意」していないばかりか、現時点において6年後に小児周産期の病床が新病院に確保される見込みなどどこにもないではありませんか。

【まとめ部分】
 この数年間、一貫して地域住民の声や、医療協議会など地域医療の専門家からの度重なる警鐘を無視し続け、「高度医療」と「一次医療」の役割分担すら理解しないまま、小児周産期医療を一括りにし、府と市の病院が近い距離にあることをもって二重行政だと判断し、強引に統合を進めてきた結果が、こうした事態を招いたこと、大阪市の責任は極めて重大だと言わねばなりません。
 民間病院誘致の4度に亘る度重なる失敗、議会に対する情報の隠蔽、虚偽答弁、数々の行政対応の遅れ、さらに統合判断となる整備費用の総額が2倍であったことが、統合方針決定から5年後に発覚するという異常な事態が生じるなど、これらはもはや行政としての組織マネージメントの体をなしておらず、今日の結果を生み出したのは市行政の怠慢と言わざるを得ず、完全なる失政と言わざるを得ません。
 市民の命を蔑ろにするこれまでの一連の行政対応のツケが、今回の小児科・産科の「病床なし」という結果を生み出したと言わざるをえず、住吉市民病院を診療所に変更する本議案の定款変更並びに中期目標の変更は到底容認できるものではなく、我が会派としては、明確に「反対」するものです。 

 以上、縷々申し上げましたが、市民が真に求める住民に寄り添う地域医療を取り戻していくためにも、議員各位の良識ある正しいご判断をお願い申し上げ、反対討論と致します。

ご清聴、ありがとうございました。