バス基本方針、経営健全化計画反対討論

議案第104号「大阪市自動車運送事業の引継ぎに関する基本方針の策定について」、
議案第105号「経営健全化計画について」(自動車運送事業)に関して、反対討論
 【太田議員 平成28年3月29日】

oota私は、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表し、ただいま上程されている議案第104号「大阪市自動車運送事業の引継ぎに関する基本方針の策定について」及び議案第105号「経営健全化計画について」(自動車運送事業)に関して、反対の立場から討論をいたします。

まず、冒頭に申し上げます。
我々は、地下鉄並びにバスの民営化議論に関しては、できるだけ早い段階での結論を出さなければいけないとの思いで真摯に議論を進めてきました。着実に議論を前に進めるために、わが会派から「いわゆる手続条例」というものを提案し、その結果、前の議会においてその条例が理事者提案された上で可決されました。
「いわゆる手続条例」に基づいて、本定例会において「バス民営化基本方針案」「地下鉄民営化基本方針案」が出されたものであります。
しかし、地下鉄ならびにバス民営化基本方針案は、我々が当初想定していたものとは大きく異なり、「原則」なる言葉を使い、肝心なことが書かれておらず、議会から「このようなペラペラの基本方針案では議論ができない」との声が漏れ始めると、取ってつけたかのように地下鉄ならびにバス民営化プラン案なるものが持ってこられました。
はたまた、「バス民営化基本方針案」「バス経営健全化計画について」に関しては、昨日の本会議でさらに修正案が上程されるような状況であります。本来、議案というものは、理事者、いやすなわち市長が本気で出してくるべきものであります。そもそも予算審議は行政にとって一番重要なものであり、そのために前年12月の段階から、議会からも予算要望しているのであって、本気で話をする時間は十分にあったはずです。
しかし、本定例会の異常な特徴といっても過言ではなく、多くの議案でコロコロ修正されるなど、市政に対する「いい加減さ」に怒りすら覚え、その状況だけでも、普通なら「否決」されてもやむを得ない状況であります。まずそのことを指摘させていただきます。

さて、そのような中ではありましたが、「対立」ではなく「対話」を目指す私たちは、予算審議の中で真摯に様々な議論を行いました。予算審議を通じて、バス民営化議論の前提ともなる地下鉄民営化の議論において、民営化プランに書かれていない、多くの事実が判明しました。地下鉄民営化時に、職員が株式会社に転籍するにあたり退職金を支払わなければならないということで、普通退職の場合の退職金総額約900億円に、整理退職と同様の退職金を支払うということなどで更に約300億円、最大合計約1200億円もの額が退職金として必要となることが判明しました。

さらにバス事業の最終処理に伴う資金として約143億円などが必要となり、その他もろもろを合わせ、結果として、約227億円の基金をすべて活用しても、民営化時には約112億円の資金不足になるということが判明しました。
その事実が隠されていたことに、我々はこれまで予算市会でも指摘してきたとおり、この説明に大いに不信感を持つところです。

さらには、企業債の処理においても一般会計との調整がついていないこと、またニュートラムの高架部分のインフラ部分の取り扱いも協議中であるなど、新たな課題も出てきました。我々は、ほかにも隠れた事実が、まだまだあるのではないかと、感じています。

さて、そういう前提での交通局の市会への対応ですから、バス民営化に関しても、私たちは大変大きな不安を感じています。

そもそも市営バスの運転手の年収は約723万円であるのに、大阪シティバスの運転手の年収は約440万円。
シティバスにおいては平成27年度当初の時点で74人の人員不足と言いながら、平成27年度の採用では279人の応募があったものの、57人の採用で期中の退職を差し引いて51人の人員不足が続いています。

バスの民営化を進めた場合に、本当に市営バスの運転手が大阪シティバスに転籍してくれるのか昨今の民間バス会社のブラック企業ぶりが取り上げられているように、より条件の良い会社に人材が流れるのではないかと不安でたまりません。
インバウンド効果でバスの運転手不足が叫ばれる中、運転手は引っ張りダコです。バスが民営化した途端に、運転手不足から路線の運休などの問題がすぐにでも起きるのではないかと危惧せざるをえません。その点に関しても、交通局からは、安心できる明確な答弁を頂けませんでした。

また「そもそも、そのあたりの不安に対しては、退職金や給与面などは労使問題だから言えない」と交通局に言われました。そうであっても、大枠の内容に関して、基本方針の中で 議会に示しておくべきではなかったのでしょうか。
このような重要事項が書かれていない以上、まずは、現時点で基本方針案を賛成することなど、とてもできず、今回の基本方針案を一旦取り下げて、引き続いてしっかりと議論すべきだと考えております。

したがって、我々としては、委員会において地下鉄・バスの基本方針についてどちらも継続審査を主張し、委員会としても地下鉄の基本方針については継続審査となっております。一方で、バスについては過半数の会派が賛成し、昨日の委員会において可決されました。このような状況の中、バスの基本方針のみに賛成することはできないと言うことも、あわせて申し上げておきます。
次に、先にも申し上げましたが、昨日の本会議に対する修正案において、「まず民営化基本方針案」に関しては、現行のバス路線の維持に関して「引き継ぎ後 概ね5年程度」と書かれていたものが、「少なくとも10年」と修正されました。
その点について申し上げます。

はっきり申し上げます、この修正案は議会の賛成を取り付けるためのバナナのたたき売りですか。手抜き工事のヒビ割れに、とりあえずガムテープで応急処置をするような、全く解決にもならない、うわべだけのゴマカシです。

当然ながら現行のバス路線に関しては簡単に廃止されてはたまりません。しかし、どのように路線を維持していくのか、そのために大阪市が「公」の役割として何をしていくのか、新たな「会議体」の中でどのように決まっていくのか、「民」としてどのように路線維持のために努力をしていくつもりなのか、何も示されていません。

何より、バス民営化議論の最大の問題は、バスの収益増に向けた路線の再編戦略に関して、何も示されていないことです。交通機関というものは、単線で稼ぐのではなく、ネットワークで稼ぐもの。その発想が全く無いのが今の交通局です。

私たちは発想を大転換し、地下鉄とバスを競争させ、地下鉄路線の上を、バスを走らせる増収計画を立てるべきとも提案しましたが、交通局は「そもそも会計上は地下鉄とバスは別だ」と言う一方で、運営において「バスは地下鉄と連携しているものだ」など、論理破綻をきたす答弁を繰り返してきたではありませんか。
高齢化社会を迎え、都市再生をどう進めるのか、また豊かな大阪の実現にどう貢献していくのかという都市経営のあり方について、議論もなにもされないような状況で、市民の大切な足であるバス路線の在り方を「バナナのたたき売りゴマカシ修正案」にゆだねるなど、安心なんてとてもできるわけがありません。

続いて、「経営健全化計画について」ならびに、昨日提出された修正案に対して何点か申し上げます。

この議案第105号の「経営健全化計画について」は、「バスの民営化」を前提としたものです。
交通水道委員会の中でも、京都市バスの健全化の話を指摘しましたが、京都市バスは「増収計画」をしっかりかき、健全化に向けて取り組んでこられました。しかし、大阪市はどうでしょうか、民営化、民営化、民営化、とまるでオウムのように繰り返すだけで、何の努力もしようとしていないではありませんか。

理事者から聞かれる話は、健全化計画を認めてほしい、認めてもらわないと違法状態になる。そして大阪市は信用を失うと言い、バス民営化を認めさせるために議会に脅しをかけ判断を迫っているだけです。
オスカードリームの処理に伴うバス会計の負担に関しては、地下鉄会計から負担するか、地下鉄会計から長期借り入れをすれば、健全化法の対象にはなりません。

一時借り入れではなく長期借り入れにすべきと主張するも、交通局は、先にも申しあげましたように、「地下鉄とバスとは独立採算で会計は異なるものであるから無理だ」との答弁のみで、バス事業として問題を解決してやろうという気概を、なんら感じさせない・魂の抜けたセミの抜け殻のような答えを繰り返すだけです。

しかし、修正案では、一般会計からバスへ貸し付けている約62億円を返還しろと言われたら、何と地下鉄会計から一般会計に返すというではありませんか。それができて、なぜ長期借り入れができないのか。そのうえでの増収計画をなぜかけないのか。だからこそ、私たちは理事者からの「脅し」だというのです。そのような脅しに屈することが、議会の存在そのものを自ら否定するものであります。

よって、「脅し」を前提とした「経営健全化計画について」は断固として反対の立場をとらせていただきます。

るる申し上げましたが、まぎれもなく「バスは地下鉄の補完」です。オスカードリームの債務を地下鉄が返還すれば、民営化せずとも大阪市営バスは公営で間違いなく経営できるはずです。

更にバスは、地下鉄と戦ってやろうというくらいのオフェンシブな姿勢と発想で、新たな交通局として努力すれば、必ず再生できるはずです。

なぜなら大阪市交通局には、かつて關はじめ大阪市長や大阪市民と一緒に、未来の大阪交通を思い描いてきた歴史と伝統のDNAが今もなお、受け継がれているはずです。

私たち自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団は、本議案に対しては、理事者の「脅し」に屈することなく、議員としての責務、議会の使命を忘れることなく、反対を主張し、討論とさせていただきます。
ご清聴、ありがとうございました。