市営交通事業の民営化に関する議案3件に対する反対討論。

平成26年11月21日 大阪市会本会議
市営交通事業に対する民営化に向けての条例案について、本会議で否決となりました。
我々は、決して民営化に反対しているわけではありません。
その理由を含め、否決に至った経過を討論の中で川嶋議員からシッカリと訴えさせて頂いております。

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私は自由民主党・大阪市会議員団を代表して、市営交通事業の民営化に関する議案3件に対し、反対の立場から討論を行います。
大阪市営交通事業が歩んできた110年の歴史は、大阪市民とともに歩み、そして築き上げられた大都市・大阪市の発展の歴史そのものであります。その大阪市交通局の地下鉄事業ならびにバス事業は大阪市、大阪市民にとっても大切な宝物であります。

だからこそ、大阪市交通局の地下鉄事業ならびにバス事業を民営化するのなら、政治的な目的達成のための民営化議論の利用、いわゆる「政略結婚」的な政治利用ではなく、大切な娘を嫁に出すがごとく、自信をもって送り出すとともに、誰からも祝福され、周りの人たちも幸せになれるような嫁入り・結婚、要するに、「お客さま」「市民」「大阪市」「職員」「協力会社」など地下鉄・バス事業に関わるそれぞれのステークホルダーの皆から祝福され、そして皆が幸せになれる民営化でなければなりません。
私たちは、そのような思いで、真摯に議論を重ねて参りました。 

さて、我が会派は、交通事業の民営化に関しては決して反対するものではありません。これまでの議論にあたっても、反対のための反対をしたことはありません。交通局と真摯な議論を積み重ね、一つ一つの課題をクリアしながら、その結果、ここまで前進してきたと思っています。
しかし、市長が交通事業民営化の問題をいつも政治的に利用されようとする姿勢や、昨今の交通局を取り巻く様々な疑念・問題から、今日この場で反対討論をせざるを得ない状況になったこと、大変残念でなりません。まずは、そのことを申し上げさせて頂きます。

それでは、我が会派として、当該の3つの議案に賛成できない理由を3つの点から述べさせていただきます。

まず1つ目ですが、昨今、新聞誌上で連日、騒がれております交通局発注の随意契約などに関する一連の問題についてであります。

 これまで、民営化に関する議会での真摯な議論において、市長とは信頼関係を築くことはできませんでしたが、交通局との信頼関係は、「初乗り運賃値下げの問題」で一時期、信頼関係を失った時期はあったものの、それ以外では、一定、信頼関係を保っていたと認識しています。
交通水道委員会の場でも、私は、「民営化議論を進めるにあたって議会と交通局が真剣に議論を重ね、前に進んでいるのに、いつも政治的発言で議論の邪魔をするのは市長である、議会と交通局の共通の敵は市長ではないか」といった旨の発言をしたことがあるくらいですから。

しかしながら、昨今、「大阪市営交通110周年記念シンポジウムに関する業務委託」における受注業者である大手広告会社との会食問題をかわきりに、地下鉄駅構内でのイベントに関する随意契約と調査費の支出の問題、駅壁画の随意契約、トイレ美装化に関する随意契約、その他の随意契約の問題、また、大正区での花火大会に対する過大な支出など、経営トップである交通局長に対し、数々の疑念が渦巻き、先日19日の委員会の質疑において、様々な質疑が行われました。
しかし、その疑念が薄らぐどころかますます深まるような状況となり、今は、私たちの交通局に対する信頼は「ない」と申し上げざるを得ません。

また、「大阪市営交通110周年記念シンポジウムに関する業務委託」における受注業者である大手広告会社との会食問題に関しては、内部調査と外部調査が行われましたが、その調査報告書において、会食に同席していた調査役の証言が内部調査と外部調査とでは、重要な部分での証言が異なっておりました。その疑念が晴れることの無い中、調査報告が議会の場でなされたその日に、当該調査役の職を解かれました、解職されました。
その解職は調査役からの退職申出によるもので、真相解明することなく、退職申出を受け認めたことは通常では考えられず、より一層疑念が増していると言わざるを得ません。

また、民営化基本プラン(案)の中には、その目的の所で「柔軟な契約、調達方法による調達コストの削減」と書かれてありましたが、民営化の前に、契約・調達が柔軟に行われ、今回のような問題が起こり、まるで民営化後の「利権構造の構築」のためではないかと疑うような状況となってしまいました。

従って、まずは、民営化の議論の前に、これら契約事務などに関する疑念や課題を解決し、決着させない限り、民営化に対する市民からの理解は得られませんし、さらには、交通局が議会からの信頼を取り戻さない限り、議会としても責任ある判断を行うことはできません。これが一つ目の理由です。

続いて、2つ目は、条例案そのものの内容の問題であります。

現在の条例案は、内容は「地下鉄ならびにバスに関する廃止条例」であります。仮に、今、この条例案を可決した場合、本当に交通局が提出している民営化基本プラン案通りになるのか非常に疑わしいというか、不安があります。

この条例の内容は、「公営としての事業を廃止します」「施行日は市長が定める日」という2点のことだけが書かれており、まるで市長への「白紙委任状」のような内容となっています。
市長と議会の信頼関係があるのなら、「民営化基本プラン(案)」について、ほぼ問題がないと思えた段階で、白紙委任条例であっても賛成できるでしょう。しかし、今の市長と議会の関係においては、お互いの信頼関係はありません。常に市長が、政治的「対立」を演出することに腐心されているからです。

例えば、先日の交通水道委員会においても、突然「地下鉄の運賃をさらに値下げする」とか「バスについては、議会の要望を丸呑みしたのだから、民営化に賛成しなければ、バス事業の破たんを回避するために路線を縮小しなければならない」旨の発言がありました。バスの民営化に至ってはまるで議会への「脅し」のような政治的闘争のための発言がありました。
これでは、市長への「白紙委任条例」に賛成することなど、できるわけはありません。これが2つ目の理由です。

なお、この点に関しては、先日の一般質問の際に、私から市長に民営化議論の進め方について提案させていただいております。
そのことを再度、申し上げたいと思います。

そもそも民間企業においては、重要な経営判断が伴うものについては、「方針決裁」「実施決裁」と二段階での意思決定が行われます。
今回の条例案は「実施決裁」の位置づけであり、「方針決裁」もないままに、いきなり「実施決裁」に賛成することはありえません。
よって提案として、まずは、現在の2つの廃止条例案を取り下げ、「方針決裁」の位置づけとして、方向性について「意思決定」するために、また、民営化が議会の承認した内容と違わないようにするため、「民営化基本計画」を地方自治法第96条第2項の議決対象とするための条例をまず制定し、そして制定された条例に基づいて、「民営化基本計画」を新たに議会で議決するようにしてはどうかという提案内容でありました。

しかし、提案を受け入れて何らかのお答えをいただけるのかなと言う雰囲気を感じた時もありましたが、結果として、その後、本日まで何ら提案がありませんでした。
取り下げて頂けない以上、今回は私たちから「否決」と言うことで一旦は「けじめ」をつけざるを得ません。

今後も私たちは民営化の議論には真摯に向き合って取り組んでまいりますので、早急に、「民営化基本計画」を地方自治法第96条第2項の議決対象とするための「手続条例」を制定していただきたいと、2つ目の理由を申し上げるとともに、改めて提案と要望をさせていただきます。

3つ目は、民営化のスケジュール感についてです。
私は、この民営化議論において最初から疑問を抱いているのですが、これは、実務を知らない方々が市長の政治的な都合により決められた民営化の実施時期ありきで事務を進められてきたことであります。
当初、バスは26年4月、地下鉄は27年4月からと、何の具体的な積み上げもなく、最初から民営化の開始時期が決められ、その実現だけが目的となっていたため、十分な検討の上に成り立った計画から、議論をスタートできなかったことがかえって遠回りをさせる結果となっております。
バスにおいては、シティバスへの一括譲渡など、私たちの案を組み入れていただいているところは十分理解し評価しております。しかしながら、譲渡先であるシティバスの受け入れ状況は、万全な状態といえるのでしょうか。
また、地下鉄においては、来年4月に民営化とおっしゃっていますが、議会で指摘された数々の問題点や権利関係は既に整理されているのでしょうか。
私は、民営化のスケジュールはあくまでも机上での計算であって、実態はまだまだ時間がかかるというところが真実であると認識しております。
私たちは、民営化そのものは反対していません。しかし、一旦、民営化し、失敗したとしても、もう元に戻すことはできません。
それだからこそ、机上の計算だけではなく、しっかりと地に足の着いた民営化の議論を進めるべきだと思います。これが3つ目の理由であります。

以上、3つの点から反対の理由を申し上げましたが、最後に、交通局ならびに交通局の職員に申し上げたいと思います。

交通局ならびに交通局の職員の方々は、私たち議会の声、市民の方々の声にこたえようと必死に頑張ってくれたことは議会人として評価をしております。
私は、議員であるとともに、一人の大阪市民でもあり、地下鉄・バスの利用者でもあります。地下鉄を利用させていただいた時には、やはり、以前とくらべて、駅員さんのさわやかな挨拶や、車掌さんが工夫をこらし、また丁寧な車内放送がされています。また、通学にバスを利用している娘からも、バスの運転手さんの運転が丁寧になったとか、バスを降りる際には声をかけてくれるなど、サービスが良くなったと言われたこともあります。
民営化への取り組み、議論を進めてきた成果があらわれたきたと実感しました。

我が会派としては、今回、地下鉄ならびにバス事業の民営化に関する条例案については反対をいたします。しかし、これで終わりではありません。今日が「新たなスタート」であります。
「お客さま」「市民」「大阪市」「職員」「協力会社」など地下鉄事業に関わるそれぞれのステークホルダーの皆から祝福される大阪市営交通の未来について、引続き、市民の方々の声を聞き、また交通局のみなさんとともに真剣に議論をしていくことを申しあげ、反対討論とさせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。