私は、自由民主党大阪市会議員団を代表し、議案第333号「特別区設置協定書の承認について」断固反対の立場から討論をさせて頂きます。

10月23日、府議会において大阪府・大阪市特別区設置協議会の委員構成が会派按分に戻され、それを受けて大阪市会においても改めて会派按分により推薦手続きを行いました。協議会そのものはその後開かれてはおりませんが、約9ヶ月の時間を費やして、協議会の正常化が民主的な手続きによって実行されたのです。
 これは、松井知事や橋下市長による違法行為や、岡沢府議会議長の不信任決議を可決されるほどの愚行により、だましだましで協議会正常化の引き延ばしをしてきましたが、結局は今年1月31日の第13回協議会より後の協議・議論に正当性がないということを証明したことに他なりません。

 すなわち、民主的な手続きを経ず、違法行為を行使することによって成立した協定書は、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に基づき協定書に最低限書くべきことが書いてあったというだけで、総務大臣から「問題ない」との意見が出たものの、法令を遵守し、関係者の間での真摯な議論に努める様にとの技術的助言が付されるなど、根本的な手続き面においては大きな瑕疵があることが明らかになったのです。

 作成の手続きに問題がある協定書は、第14回協議会以降、わずか6時間程度の維新のみの委員で議論されただけあって、まさに突貫工事の不良品と言える多くの欠陥を抱える内容となっています。

 以下、各常任委員会の議論などで明らかになった3点について、指摘を致します。

1点目は、区割りです。
 財政効率を優先することだけで選択された大阪市の5区分割は、70万人近くの人口を擁する特別区も誕生させることになり、現状大阪市の270万人より少ないという屁理屈だけが空しく響く政令市並みの人口規模でニアイズベターとは程遠いものであります。また、特別区の数が5つであることに悪乗りするかのように、湾岸区のみが区の特性をイメージさせる名称にはなっているものの、他は中央・北・東・南と歴史や伝統文化を無視した名称で、地域に対する愛情を感じるものではありません。そして、その5区の議員定数は、現行の定数をそのまま当てはめるという何とも短絡的で、知恵を働かせない案になっており、住民自治の強化の観点からは論外と言わなければなりません。
 そして、振り返ればこの区割り案は、そもそも大阪市のブロック化案を検討するにあたり、公募区長達が地域の声を十分に聴くことなく、短期間で作成したものが原点なのです。その後、記録が残るわけでもない政治活動のタウンミーティングで意見があったことを理由に若干の変更をされておりますが、維新のみの限られた協議会委員で決められた区割り案に、市民の思いなど全く反映されてはいないのです。
 今になって住民投票をすべきだと、あたかも市民の総意を受け入れるかの様な宣伝をする前に、本当に市民の意見を組み入れる気があるのであれば、協定書案を固める前に住民にとって最も分かりやすい区割りや区の名称について、アンケートを実施したり、パブリックコメントを行ったりする事などもできたはずであります。
 特別区設置は、住民の熱い思いにより動き出しているわけではなく、橋下市長はじめ維新の会の上から目線の押しつけの内容が協定書に記されているということを指摘しておきます。

続いて2点目は、財政問題です。
  多額の負債を抱える大阪府と大阪市の財政が府市再編によりどの様に変わるのかは、特別区設置を選択するか否かの大きな判断材料になると考えます。しかしながら、協議会においても、10月からの議会での議論においても大阪府の財政シミュレーションが示されることはなく、また、府市再編による真の効果額を知るために現行の大阪市との比較としての財政シミュレーションを提示することを求めましたが、当局は出せないと提出することを拒否しました。
 そもそも、今般の特別区設置にあたっての財政シミュレーションも、大阪市域内とでは特性が異なる5つの中核市を参考に職員数を机上の論理で概算しており、実際の行政需要に対応できるかは甚だ疑問であります。また、区庁舎はもとより、市民利用施設や、目玉権限として組み入れた児童相談所なども何処にどの様に配置され、本当に人材の確保ができるのかなどが全く不明確な状態であり、歳出を算定できない中で、どうして財政が成り立つと言い切れるのでしょうか。まさに、絵にかいた餅であります。
 大阪市域内における特別区の自主財源が、現状の大阪市税収の4分の1と大幅に減少し、財政調整により足らずを確保しなければ財政が成り立たないことを考えれば、中核市並みを謳いつつも、一般市以下で、より大阪府に対して隷属的な立場になることは明らかであります。

3点目は、意思決定についてです。
  財政調整財源の配分など都区協議会で決めるとされていることが余りにも多いこと、そして、財政規模が6400億円にも上る他に類をみないメガ一部事務組合の存在などにより、意思決定が非常に複雑になることも大きなデメリットです。
 広域行政については、一人のリーダーで決めるというのが都構想の一つの大きな謳い文句であったはずですが、協定書を見れば事務の整理が不十分で今以上に物事が決まりそうにありません。府と特別区と一部事務組合の事務配分を見てみれば、公園や施設など、何故このような配分になったのか首をかしげたくなるような事業がたくさんあります。今までは、大阪市が一元的に対応してきた関連事務事業についても、府と特別区とが別々で担務することにより、新たな連携や調整が必要になるものも多々見受けられます。しかも、その調整は5人の区長を相手にしなければなりません。
 結局のところ、大阪市の分割による特別区設置は、単独では住民の声に答えらえない財源的にキジャクな基礎自治体を5つ作ることを意味し、また、メガ一部事務組合を作らなければ事務の執行もまかりならないということこそが、特別区設置の矛盾と大阪市の存在意義を証明しているのです。

 協定書に示された新たな特別区の姿は、以上の様な欠陥を抱えており、とりわけ財政の仕組みや意思決定の仕組みについては、大阪市民の方々にとって非常に分かりにくいものとなっているとこと思います。だからこそ、議会において協定書をしっかりとチェックし、判断をする必要があるのです。

 橋下市長は「車を選ぶときに、エンジンのしくみなんか、皆さんは知る必要はない。スピード、安全性、快適性、値段を知ればいい。問題があったら買い換えればいい」という様な驚愕の発言をされていますが、特別区設置にクーリングオフ制度はありません。一旦、大阪市が解体廃止されてしまえば、元に戻すことはできないのです。ましてや、一部の特別区が単独で政令市や一般市になることも許されず、未来永劫、大阪府に対して隷属的な立場で、府にお願いしなければ、どれだけの権限が与えられるかも分からない、どれだけの財源をあてがわれるかも分からない状況になってしまうのです。
 こんなものは到底認めることはできません。

 いわゆる大阪都構想は、4年前から大きな変遷を経て、現在の協定書に至っております。大阪市域のみならず周辺市をも巻き込んで、それぞれ中核市並みの確固たる権限財源を持つ特別区を設置し、
府市再編で浮いた年4000億円ともいわれた再編効果額で大阪の成長戦略を担う。それが当初言っておられた話であったはずですが、それらは全て、絵にかいた餅どころか、絵に描くことすらできなかったわけであります。
 もはや、当初の理念など吹っ飛んでしまっており、大阪都構想はまさに破綻したのです。

 では、いったい何が残ったのでしょうか。こだわり続けたものは何だったのでしょうか。それは、単なる政令市大阪市の解体でしかありません。唯一、公選で特別区長が選ばれることによって、住民自治が強化される印象は持ちえますが、先ほど申し上げた通り、権限の面での制約や財政的な制約を考えれば、住民の思いに答えられる行政運営は厳しいと言わなければなりません。
 大阪市の解体は、大阪市域内を更に疲弊させるだけでなく、周辺市域にも悪影響を与えます。

 現状でも財政的に苦しい大阪府が、市長が最近言われる様に大阪市のこれまでの市域外行政需要の負荷・負担を負うというのであれば、更に大阪府も立ち行かなくなるでしょう。
 
 大阪都構想が当初標榜した、行政の役割分担をより明確にし、広域的な行政を一本化する。そして、大阪市における住民自治を強化するという目的については、我々も賛同をするところです。しかし、現状の都構想なるものでは、その目的が達成し難いということが明らかになった今、これまでの議論を無駄にせぬように、別の形でこれらの目的を達成する方策をすぐにでも模索すべきです。
 そして、無用な制度論に終始せずに、大都市局も本当の意味での大阪の成長を牽引する政策集団として再構築すべきと考えます。

 本日の議決を受けて、大阪における失われた暗黒の3年ともいえる、暗闇の停滞から脱却し、真に住民の安寧と大阪の発展のための具体の施策についての議論を進め実行する大阪市となることを切に求め、反対の討論と致します。